24時間換気というものを聞いたことはありますでしょうか。
馴染み無いかもしれませんが、これは法律で設置が義務化されているもので
おそらくみなさまが住んでいるお宅にも導入されています。
↓こういうものです。
大体は浴室の換気扇が24時間対応になっているかと思います。
浴室なので乾燥機と混在しがちですが、温めたり湿度を下げたりする乾燥機でなく…
あくまでも換気扇のことです。
では24時間換気扇とは一体何か。解説していきます。
24時間ときくと、とても大がかりでハイテクなものをイメージしてしまうかもしれません。
ですが全くそんなことはなく、微電力で回せる換気扇
いわば壁に付ける扇風機のようなものを24時間ずっと動かし続ける、それだけです。
何故そんなことをするのか⁇
それは30年程前にシックハウス症候群というものが問題になり
その対策のひとつが24時間換気です。
シックハウス症候群とは…
家が恋しくなるホームシックのことではございません。混在注意です。
主に建材や家具の接着剤や塗料に含まれる成分、ホルムアルデヒドが時間の経過と共に大気中に飛散して、人体に害を及ぼすというものです。害というのは頭痛や吐き気のようです。
匂いのキツい接着剤や塗料を間近で嗅いで、ウッとなった経験は誰しもがあるのではないでしょうか。
そういった事が在宅時、常に起こり続けるのですから、それは問題になりますよね。
現在は接着剤、塗料ともに有害なホルムアルデヒドなどが含まれないものが主流になっています。
しかしそれでも昔の建物や家具には含まれている可能性があります。
そのため、24時間換気扇の設置が建築基準法にて義務化されたのは平成12年のことですが
現在でもそれが続いている、ということです。
そしてここからが本題なのですが
この24時間換気扇はシックハウス対策以外にもメリットがありますので
そちらをご紹介したいと思います。
そのメリットとは?
家の中の空気を常に動かし続けるので、浴室はもちろん
家全体がカビが生えにくくなり衛生的である。
ということです。どういうことなのか詳しく解説していきます。
この24時間換気は、ただ換気扇を24時間付け続ければいい、ということではなく…
もう一つ大きな工夫があります。
みなさまのお宅のリビングや寝室の扉の下を見ていただくとおそらく
指1本入るくらいの隙間があるかと思います。
これはアンダーカットといわれ、家を24時間換気するために設けられる、いわば空気の通り道です。
つまり、浴室の24時間換気扇を動かし続けて、滞在時間の長いリビングや寝室内の空気を
アンダーカットの隙間を経て外に排出しています。
そしてリビングや寝室、いわゆる居室に設けられた給気口から外の新鮮な空気を取り入れて
空気の交換、つまり換気を行っています。
↓ちなみに給気口とはこういったものです。
こちらはなくても、実際には建物のどこかしらの隙間から空気は入ってきますが、設置されていると空気の侵入経路がわかるので、設置していた方が良いです。ほとんどの給気口が開閉機構を有していますので、隙間風が寒いと感じたら閉めることもできます。
参考例として、よくあるマンションやアパートの間取りで見てみます。
浴室に24時間換気扇を設置して排気できるようにし、リビング、寝室の扉のアンダーカットを通じて、各居室の給気口から外の空気を取り入れるようになっています。
あくまでも24時間換気の対象となるのは長時間滞在することが想定される居室(リビング・寝室のみなど)で、収納は対象外です。
そして、こういった形でも24時間換気は可能です。
各部屋に24時間換気扇を設置して、部屋ごとに給排気しています。しかしこれは少々過剰で、たくさん換気扇を設置して動かし続けなければいけないので、コストがかかります。
なので前者のように1箇所だけ24時間換気扇を設けて、アンダーカットを通じて全体的に換気する形をとる(全館換気といわれます)ことがほとんどです。
このように、建物内を微量ながら常に換気し続けるので、特に浴室、洗面所の湿気が排出されてカビが生えにくい環境になるわけです。
ワタクシ自身、色々な家に移り住んできましたが、24時間換気をするのとしないのとではカビの生えにくさが段違いでした。
とあるアパートの狭い部屋に住んでいた時期、24時間換気をしないで過ごしていたら、浴室洗面だけでなく、寝室にもカビが生えやすい状況にありました。
湿気が停滞して部屋にこもる、という環境がもっともカビを生育しやすくしてしまうんですよね…。
ちなみにカビが生えやすいということは、それらを餌にしている害虫も寄ってきやすいということです。嫌すぎますね…。
24時間換気扇は微電力ですので、24時間毎日動かしていても月にかかる電気代は千数百円です。
これを安いと感じるか、高いと感じるかは人それぞれかもしれませんが…
ワタクシは安いと思います。
換気扇を動かし続けるだけで、結果的に水廻りの清掃回数が減って、建物全体の空気環境が良くなるのですから。
また24時間換気をしていれば、石油ストーブなども多少安心して使い続けられるかと思います。
時折窓を開けたりすることを推奨しますが。
冷暖房に関しては、多少効率は落ちるかと思いますが、それは微々たるものです。室温の他にも空気を入れ替えて空気環境を整えることはとても大事です。人間がそこにいるだけでも酸素は消費されますから。
他にも梅雨の洗濯物が乾きにくい時期も便利です。
浴室乾燥機は電気代がかかる…でも雨が降っているので室内に干すしかない。そんなときに浴室で24時間換気扇を動かし続けながら干しておくと、洗濯物の乾きやすさが大分違います。
朝干して帰宅するまでの半日で、完全に乾くとまではいきませんが、平均で6割くらいは乾くかと思います。乾きにくい厚手のスウェットで4-5割、乾きやすい薄手の下着はほぼ完全に乾く、といったところです。
下着だけでも乾いてくれるなら、干しておく価値あり、ですよね。
スウェット類などは下手に濡らしたりせず、後回しで晴れの日に洗濯すればいいのですから。
そういった訳でして、今回は専門家でなくても知っておきたい、24時間換気のことを書いてみました。
これからもお手軽に、住まいのことをより良いものにできるような記事を書けたらと思います。
それではまた!